現場通信 FILE 06
島根技術発表会に参加し、落石対策について講演しました
井上 浩之HIROYUKI INOUE
道路防災専門メーカーである日本サミコンは、防災に関わる企画・開発・設計・製造・架設を一貫して行っています。その中で蓄積したノウハウを業界全体で共有するために、講演会や発表会にも力を入れるようになりました。
これまでも官庁や設計会社から防災についての講演を求められ、積極的にノウハウを開示してきました。今回は、島根県で開催された「島根技術発表会」に参加。その様子や参加の経緯を、広島支店営業課の井上さんに伺いました。
100名規模の参加者を前に、落石対策について講演
――いろいろな官庁や企業から講演依頼があると伺いましたが、今回はどのような経緯での参加だったのでしょうか?
今回は「島根県建設技術センター」からの講演依頼で、落石対策の調査や、工法の選定についてお話させていただきました。島根県建設技術センターは年に何回か講演会を開いていて、私たちにも声をかけていただいたという経緯です。
――どんな人や企業が参加していましたか?
分野や組織を問わず、100名ほどが参加してくれました。工事業者はもちろん、役所の方や建設や土木関係のコンサルタントの方が多かったですね。普段から落石対策に携わっている方でなくとも、知見を広げるためにと参加してくれました。
――他の地域との違いなどは、何かありましたか?
防災でいえば、島根は落石関係の工事が多いですから、地域のニーズに応えられたかなと思っています。一口に防災と言っても様々なものがあり、地域ごとにニーズは異なるのです。例えば北東にいくほど積雪は増えるので雪関係が、南西にいくほど雪が減る代わりに、落石関係の工事が増えていきます。
もちろん雪国にも落石はありますが、防災対策の予算は限られています。限られた予算の中で何の対策をするのか、比重が変わってくるわけですね。
地元企業がより仕事をしやすくなるようにするのが、自分の仕事
――今回は100名規模の講演でしたが、規模が大きい分、大変なことも多かったのでは?
私も何度か講演で話をさせていただいたことはありますが、今回の講演が今までで最大の規模でした。なので、やはり緊張はしましたね(笑)。印象に残っていることは、やはり準備が大変だったことですね。ちょうどいい資料が中々見つからず、参加者の方々が実務をイメージできるようなものを集めるのに時間がかかりました。
――どのようなものが、実務に役立つ講演なのでしょうか?
一概には言えませんが、私は参加者の方々の仕事がスムーズになるよう意識し、講演をしました。実は、落石対策には決まったルールがありません。特に地方は大きなコンサルタント会社さんが少ないので、会社ごとに意見がバラつきやすいです。大手企業に仕事が集まれば、そこに知識が集約します。しかし地方では仕事も知識も分散するので、「落石ならここだよね」という会社が生まれづらいのです。
――それは、地元企業や発注者の方にとっても悩みの種になりそうですね。
もちろん、会社ごとに様々な意見があることは良いことなのですが、「この現場ではどういう対策をしようか?」と話をしたときに、議論が止まったり意見がまとまらなくなったりすることが多いように感じます。
――その課題を解決することで、仕事がスムーズになるのですね。
そうです。そして議論がまとまらないのは、根拠を示せないからだと思います。「この現場にはこの対策が良いと思う。なぜならば…」と根拠を示せれば、他の人も納得しやすいでしょう。きちんとした根拠は、より適切な落石対策にもつながります。
――資料集めの苦労や、過去最大規模の講演という緊張感の中、そこまで考えてお話されたのですね。
普段の仕事でも、同じようなことを意識しているからでしょうね。業務として資料を作るときも、コンサルタント会社さんが話しやすくなるようなものを作ることが大切だと思います。
編集後記
今回の講演では、地域のニーズや特長に合った話ができるように心がけたそうです。社員一人ひとりがお客さまのことを真摯に考える風土を、これからも守り、育んでいきます。
文・現場通信編集部
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