現場通信 FILE 03
土砂崩れから人命を守る、太田川アースシェッド建設
八木 恒司KOJI YAGI
被災した水力発電所の復旧工事
アースシェッドは道路などを土砂から守る、コンクリート製の屋根。傾斜を付けて設置することで、土石流なども受け流します。集中豪雨による土石流で被災した太田川水力発電所にアースシェッドを設置することで、復旧と共に今後の災害に備えました。
災害復旧という、スピードと安全性の両立が求められる現場でのお話を、施工管理を担当した八木さんに伺います。
災害の爪痕残る現場での、難しい作業
施工の難しいシェッドでの豊富な実績と、プレキャストに対応できる点から、今回の復旧現場には日本サミコンが選ばれました。
――通常の現場と比べて、今回の現場での施工は難しいものだったのでしょうか?
傾斜を付けて取り付けるという性質上、シェッドの施工はどうしても難しいものとなります。シェッドの施工には、経験に裏付けられた勘のようなものが必要です。さらに今回のような水力発電所の場合、シェッドを現場で作る「現場打ち」では、施工に2~3ヵ月もの時間がかかります。
工期を短縮するために、工場で作ったシェッドを搬入する「プレキャスト」を採用し、1ヵ月での復旧を目指しました。
――広島支店(広島)・北陸支店(新潟)・九州支店(熊本)の3拠点合同工事だったとのことですが
雪国である新潟ではスノーシェッドという、積雪対策用のシェッドの施工実績が豊富です。シェッドにおいて高い技術を持つ北陸支店(新潟)の力を借りたいというのも理由の1つですが、技術を伝え合う目的もありました。
新潟の持つ施工技術を各拠点で共有し、全社の技術力を底上げする目的もあって、3拠点合同での施工となりました。
本社立会いの安全管理の元、元請け企業から安全表彰受賞
今回の現場は3拠点合同のため人数も多く、また復旧が急がれる工事の中で事故があっては、復旧の妨げとなってしまいます。
――復旧が急がれる現場で、どのように安全管理を行ったのですか?
迅速で安全な作業を行うため、今回の現場では支店と本社で協力し、安全パトロールを実施。復旧に向けて施工を急ぎながらも、安全には細心の注意を払いました。
その結果、元請会社からの安全表彰も頂けました。大変な現場ではありましたが、社内だけでなく社外からも安全意識が高いと認められて、嬉しかったですね。
編集後記
今回の現場では、3拠点合同の施工で技術を伝え合い各拠点に持ち帰る目的もありました。実際の現場を通して社員に実力を付ける、日本サミコンに根付いた人材育成の文化を感じられる現場でした。
文・現場通信編集部
工事概要
名称 | 太田川(発)工事 災害復旧対策工事のうち土木本工事 |
---|---|
場所 | 広島県広島市安佐南区八木町 太田川発電所 地内 |
発注 | 中国電力株式会社 |
元請 | 株式会社熊谷組 中四国支店 |
担当支店 | 日本サミコン株式会社 広島支店 |
工期 | 平成27年(2015)6月10日~平成27年(2015)10月31日 ※日本サミコン株式会社 工期 |
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